理容師の仕事は、髪を切って整える調髪、シェービング(顔剃り)などを行い、人の容姿を整えること。時代の変化とともに美容院と理容院の垣根はなくなってきているが、カミソリを使ったシェービングは理容師ならではの技術だ。
使い方を間違えると危険なカミソリを顔やのどもとにあてるだけに、手先が器用であることはもちろん、お客との信頼関係は美容師以上に重要。
女性客は1割程度で、シェービングが主だが、ヘアカットのニーズも期待される。しかし、圧倒的に多いのは、身だしなみに気をつかうビジネスマンなどの男性客である。職業や地位にふさわしいヘアスタイルを提案するには、人間観察や職業観察に基づく説得力のある説明と技能が必須。会話では時には硬派な話題など、ランクの高いものが要求されるので、日ごろの情報収集も大切だ。
理容の仕事は、髪を切る調髪と顔剃りが2大技術といわれてきたが、電気カミソリや安全カミソリの発達で、専門的な顔剃りの比重は減少の傾向にある。最近では、クリニックサロンなどと銘打って、調髪のほかに頭皮、爪、肌を整えたり、健康管理に関する技術を提供する店が増えている。中高年が悩む育毛のカウンセリングも魅力となっている。
理容師になるには、厚生労働大臣指定の理容師養成施設で学び、理容師の国家試験に合格しなければならない。
養成施設の修業期間は昼間部、夜間部とも2年以上、入学資格は高校卒業以上。通信教育制度(3年以上)もあり、働きながら学ぶこともできる。卒業後、理容師国家試験を受け、筆記と実技の両方に合格すると、申請により免許証が交付される。また、理容師免許取得後、3年以上の実務経験を積み、指定の講習会を修了すると、国家資格の管理理容師を取得できる。従業員が常時2人以上の理容院には管理理容師を置くことが法律で義務づけられており、取得しておくと、転職や独立時に有利だ。